近年のアウトドアブームもあり、野外でキャンプなどを楽しむ人が増えていますが、屋外に生息するマダニによって媒介される感染症の被害にあう人が増加しています。
そこで、マダ二による感染症について、知っておきたい症状や治療法をご説明します。
目次
マダ二感染症とは
マダ二からの感染症は、それぞれ特定のウイルスや微生物を持ったマダニに噛まれることで感染し、従来の「日本紅斑熱」「ライム病」「回帰熱」に加えて、2011年に特定された新しいウイルスSFTSウイルスによる重症熱性血小板減少症候群(SFTS)があります。
また、「ツツガムシ病」もダニの一種であるツツガムシに噛まれることで起こる病気です。
特にSFTSに関しては中国で最初に発見され、日本国内では2013年に1例目が報告されてから、2016年7月までで203人の感染が確認されています。
5~8月の発症例が多く西日本を中心とした20都府県から報告が出されています。
203人の感染者のうち48人が亡くなっており、非常に恐ろしい病気といえます。
マダニ感染症の症状と潜伏期間
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
主な症状は発熱、嘔吐、腹痛、下痢が中心で、時には頭痛、筋肉痛、意識障害やけいれんなどの神経症状、出血症状が現れることがあります。
ダニに刺されてから6日から2週間の潜伏期間を経て症状が現れます。
ツツガムシ病・日本紅斑熱
どちらも主な症状は発熱、リンパ節主張、発疹です。刺された部分の周囲が赤く腫れ、中心部がかさぶたになるのが特徴的です。
潜伏期間はツツガムシ病で、10日~14日、日本紅斑熱で2日~8日です。
ライム病
刺された部分を中心に紅斑が広がり、しだいに拡大していきます。
頭痛、発熱、筋肉痛、倦怠感などインフルエンザのような症状が出ることがあります。
潜伏期間は1~3週間で、ほとんどの患者がマダニに刺されたという自覚を持っています。
回帰熱
頭痛、筋肉痛、関節痛、発熱、悪寒など風邪のような症状が見られ3~7日程度の発熱期と、5~7日程度の無熱期を繰り返します。
日本ではここ数十年感染が報告されていませんでしたが、2010年以降、海外渡航後の感染者が報告されています。
マダニ感染症の治療法
マダニは人に取り付くと数時間にわたり皮膚にくっついて血を吸い続けます。
無理に皮膚から取り除こうとすると、体の一部が皮膚の中に残ってしまうことがあるので、マダニに噛まれたことに気がついたらそのままの状態で、皮膚科へ受診してください。
すべてのマダニが感染症の原因となるウイルスを持っているわけでありませんが、感染症になった場合でも、早期に適切な処置をすることで、症状の重篤化を防ぐことができます。
しかし、STFSに関しては有効な薬剤がなく、対症的な治療が中心となります。
また、ワクチンなどはなく、予防するためにはダニに刺されないようにするしかありません。
野外で活動する際には皮膚の露出を控え、虫除けスプレーなどを使ったり、直接草の上に座らないように気をつけましょう。