大晦日には年越しそばを食べるという人も多いと思います。
年越しそばにはいろいろな由来がありますが、その中でもちょっと意外な借金にまつわる由来をご紹介します。
旧年中の借金を断ち切る
茹でた蕎麦は「切れやすい」という特性がありますが、それにあやかり年末にそばを食べることで、今年背負った苦労や災難を「切り捨てたい」と人々は考えました。
年越しそばを食べるようになったのは江戸時代中期ごろからだと言われていますが、江戸時代はツケで買い物するのが一般的で、お盆や年末にまとめて支払いをしていました。
そのため年の瀬になるとお金を集めるのに苦労し、そんな苦労を断ち切りたい、という願いもうまれました。
年越しそばを、「借銭切り(そば)」、「勘定そば」と言うことがありますが、その時にはそばを残してはいけないと言われています。
今年中に貸したお金を回収する
もう一つの由来は、金銀職人がそば粉の団子に、床などに落ちた金銀粉をくっつけて回収したことから、今年中に借金を回収する、というものです。
同じく、そばはお金を集める縁起物であると捉えて、縁起を担ぐ意味もありました。
一つ目の由来が、茹でたそばの性質を受けて、お金を借りた人の願いが込められているのに対し、こちらはそば粉の他の使い方から連想した、お金を貸した立場からの願いが込められています。
由来の発生元は違いますが、どちらも借金にまつわる由来ですね。
その他の年越しそばの由来
年越しそばには他にもたくさんの由来があります。
一つ目は長い、というそばの形状から長生きや家の繁栄を願ったというものです。
二つ目は、そばの原料となる植物のそばの性質が倒れてもすぐに起き上がることから、健康を願った由来です。
三つ目は、実際にそばの持つ健康効果から食べられるようになったというものです。
このようにいろいろな願いを込めて食べられる年越しそばですが、大晦日であればいつ食べてもいいそうです。
もちろん、お昼に食べても構わないのですが、厄落としの意味でも食べられる年越しそばは、旧年中に食べ終わらなければいけません。
まとめますと、年越しそばにはいろいろな由来があり、その中には借金に関したものが、ふた通りあります。
一つは旧年中の借金を断ち切る、というものと、もう一つは今年中に貸したお金を回収する、というものです。
由来を知って食べる年越しそばの味は、いつもと違うかもしれませんが、食べる時は年をまたがないように気をつけましょう。