お墓や仏壇にあげるお線香。
家に仏壇のある家庭で育った人であればあまりに当たり前でその意味など考えたこともないかもしれません。
しかし、ある程度大人になれば、よそのお宅の仏壇をお参りする機会もあるでしょうし、常識として知っていて悪いことではありません。
そこで、お線香をあげる意味や、本数などをまとめてみました。
目次
お線香をあげる意味
お線香をあげるのは仏様への供養のためですが、ではなぜお線香をあげることが仏様を供養することになるのか、ということについてご説明します。
線香の香りは、人が亡くなり49日を過ぎるまでの期間、亡くなられた人の食事になると考えられ、「倶舎論」という仏教論書の中には、生前良い行いをしたものは良い香りを食べ、悪行を尽くしたものは悪臭しか食べられないと記されています。
お線香をあげるという行為には、亡くなった人がその香りを食べて、来世も良い世界で過ごせるようにという願いが込められているのです。
また、インドでは王族や大商人の間でお客様をもてなす際に、お香が使われていたことから、しだいに仏教にも取り入れられ、「仏様をもてなす」という意味で使われるようになりました。
さらに、お線香の煙や匂いは「自分」や「その場」を清めるものとされ、あの世とこの世をつなぎ、仏様と話ができるようになるとされています。
以上のことから、仏様への供養として線香をあげる習慣が根付いたようです。
お寺の宗派による線香の本数の違い
お線香はその家のお寺の宗派によりあげる本数や、あげ方が違ってきます。
真ん中に1本線香を立てる:臨済宗、日蓮宗
真ん中に1~3本線香を立てる:浄土宗、曹洞宗
逆三角形の形に離して3本線香を立てる:天台宗、真言宗
一本の線香を2~3本におって、横に寝かせておく:浄土真宗
このように大きく分けても4種類の方法があります。
その家のやり方に合わせるのが礼儀ですので、初めてお参りするお宅の宗派がわからなければ、家の人に聞くようにしましょう。
お線香をあげる時にしてはいけないこと
お線香をあげる時にはろうそくから火をつけますが、この火を消す時に息を吹きかけて消すのはいけません。
仏教の世界では人間の口は汚れているとされています。
その汚れた口から直接息を吹きかけることはマナー違反になりますので気をつけましょう。
また、「チーン」とお鈴(おりん)を鳴らす人がいますが、これも正式な方法ではありません。
お鈴は読経の時に鳴らす道具ですので、お線香をあげるときは鳴らさなくても良いそうです。
だからと言って、家の人がお鈴を鳴らした時に「それは間違いですよ!」とわざわざ言うのもどうかと思いますが、知識として知っていてもいいでしょう。
お線香に火をつけ仏様にあげる時間は不思議と心が落ち着くものです。
普段何気なく行っている行動も、意味を踏まえてするとまた違った
ものになり、仏様へのさらなる供養となるのではないでしょうか。