育児中の人、介護中の人は、1日8時間勤務のところ、6時間勤務にできるという「時短」の制度があります。
ところで時短勤務中の残業代はどうなるんでしょうか?
出る人、出ない人、それぞれにスポットを当ててみたいと思います。
目次
時短勤務中で残業代が出ている場合
時短勤務中は、本人が希望しない場合には、残業をお願いしてはいけないことになっています。
育児介護休業法でそのように定められています。
とはいえ、本人が「残業できます」としている場合には、時短勤務中でも残業を頼まれることがあります。
その場合には会社の規定で決まっている残業代が支払われます。
とはいえ、育児や介護で8時間フルに働けないので、時短勤務に入っているのですよね。
残業代の時給換算は、通常勤務のときの×1.25など、割のよい仕事になっていることが多いです。
そうすると、時短勤務中の人は6時間勤務と2時間の残業、一般の社員は8時間通常勤務となり、通常勤務の人より残業代分だけ割のよい仕事になることもあります。
時々なら問題ありませんが、金額の差によっては一般の社員側から「なんで時短中なのに…」と不公平感の声が出る可能性もあります。
残業をさせる会社側の問題になりますが、育児や介護のために時短にしているという初心に戻って、残業は多すぎないように抑えた方が本来の時短の姿になります。
時短勤務中で残業代が出ていない場合
残業代は労働に対して支払われるべきものですが、実際に「時短勤務分の残業が出なかった」という声も耳にします。
雇用契約書違反ではないかという事例と、そうでない事例が考えられます。
雇用契約書違反の事例では、会社によって残業させられているのに、残業代が出ない場合です。
これは「残業代未払い」に相当すると考えられますので、支払い遅滞分を支払ってもらうよう働きかけてみてください。
時短勤務中は本人の希望がなければ残業をさせてはいけないことになっています。
時短勤務の人に残業を命じて賃金が出ないというのは労働環境がよいとはいいがたいので、育児介護休業法を持ち出して残業を断った方がよいかもしれません。
事実上ボランティア残業になっていませんか?
そしてもうひとつ注意しないといけない事例があって、「命じられていないのに勝手に残業をした」というケースが考えられます。
筆者にも経験がありますが、仕事現場が多忙で仕事にきりがつかないと、就業時間を過ぎてもズルズルと職場に居残ってしまうことがあります。
職場から命じられていないのに職場に居残って仕事をしてしまうことは、ボランティア労働となってしまいます。
労働基準法上では成り行きで職場に残って仕事した分も勤務時間内に含めて賃金を支払ってもらうことはできると定められていますが、多忙を極める現場にその正しいルールを受け入れるキャパシティがない場合もあります。
勝手に残っているとみなされるボランティア残業、一度や二度なら見逃せるかもしれませんが、後に続く時短取得者のためにも、なあなあな賃金と労働の関係は断つことがのぞましいです。
本来なら雇用主や会社全体で考えていくことですが、時短取得者として育児介護休業法の仕組みを知り、残業について会社の就業規則も把握できる機会にしてみてください。
時短勤務中の残業代はどうなる?のまとめ
時短勤務中でも本人が望めば残業をすることもあります。
会社の就業規則により、残業代が支払われます。
会社全体と時短勤務者にとってバランスが取れるような残業時間に収めるようにするとトラブルが少ないです。
育児や介護のために時短勤務にしているので、勤務後は育児や介護のために時間を使うようにしたいものですよね。
命じられて残業をする場合はいいのですが、現場が多忙なために頼まれてもいないのについつい残って仕事をしてしまうこともありがちです。
ボランティア残業は後に時短を利用する人にとっても好ましくありません。
育児や介護に関わる年数は限られています。
周りに悪いと思う気持ちも当然ありますが、置かれている家庭の立場は人それぞれです。
特に時短勤務中は、ボランティア残業でズルズルと居残ることは避けましょう。