佐渡には佐渡金山やトキの森公園など多くの観光スポットがありますが、丸いたらいのなかに人が乗る、たらい舟をごぞんじでしょうか。
観光客の人がおけさ姿の女性と一緒にたらい舟に乗っている写真を見たことがある人も多いと思います。
今回はそのたらい舟について詳しく解説します。
たらい舟のきっかけは地震?
たらい舟が使われるようになったのは江戸から明治にかけてのことで、そのきっかけは1802年に起こった佐渡小木地震にともなう地形の変化と言われています。
この地震により岩礁と複雑に入り組んだ入江が増えたことで、アワビやサザエ、海藻などが豊富にとれるようになりましたが、従来の漁船では漁がしにくくなったため、小回りのきくたらい舟が使われるようになったそうです。
このたらい舟については、洗濯桶を改良したという説と、味噌桶から作ったという説がありますが、はっきりしたことはわかっていません。
たらい舟を体験するには
小木港にたらい舟乗り場があり、誰でも体験することができます。
所要時間は15分ほどで、湾内を軽く一周し、料金は大人500円、小人300円です。
着物を身に付けたおけさ姿の女性が一緒に乗り、漕ぎ手になってくれますが、希望すれば自分でたらい舟を漕ぐこともできます。
このたらい舟には漕ぎ手の他に大人3人が一度に乗ることができますが、たらい舟を運営している会社のHPによると11人乗っても沈まないくらい丈夫なんだそうです。
ちなみに、一年中乗ることができ、雨や雪の日でもよほどのことがない限り、中止にはならないそうです。
体験者の方の声として一様に「楽しい」とのことですので、佐渡に行った際にはぜひ一度乗ってみてはいかがでしょうか。
今も現役のたらい舟
このたらい舟は今も現役で、小木海岸で行われる磯ねぎ漁に使われています。
磯ねぎ漁は4月から6月頃の3ヶ月間が最盛期で、この時期には一家総出で漁に出るそうです。
ただし実際のたらい舟漁では着物姿のおけさ姿にはなりません。
このたらい舟は単純な作りですが、復元力が強く、櫂一本で細かい操作ができ、漁船に比べ、価格も安く、元運びも楽です。
昭和30年代頃まではある地域では大事な嫁入り道具の一つだったそうです。
ちなみに、観光客を乗せるたらい舟はこれよりもひとまわり大きく、JRの全国版時刻表にはこのたらい舟の運行時刻が載っているそうです。
時刻表に乗っている一番小さな乗り物はたらい舟、ということになります。